新クールのドラマが続々始まっている中、ちょっと乗り遅れた感じの前クールのドラマについてですが、ドラマ「ブラックペアン」を見て感じたことを語ってみたいと思います。
そもそもこのドラマを見始めたのは、嵐ファンだからという理由なので、当然のごとく二宮さん演じる渡海先生の魅力に完全に堕ちた視聴者の一人ではあったのですが、、、
一方で、物語の主テーマとなっている、「テクノロジーvs人間」という構図については、思うところもあったので、ここではこちらをテーマに語ってみたいと思います。
テクノロジー vs 人間
このドラマでは、大学病院を舞台に権力争いや復讐劇など様々な伏線が入っていますが、物語のメインとなる筋の一つに「医療テクノロジー vs 人間の医師」という構図がありました。
二宮和也さん演じる渡海医師は手術成功率は100%という天才的な技術を持った外科医でテクノロジーに懐疑的。
一方、対立する立ち位置にいる小泉孝太郎さん演じる高階医師はテクノロジーの発展によって救える命が増えることを信じて推進している立場を取っています。
特に物語前半は高階先生が持ち込むテクノロジーを高度な技術を持つ渡海先生がコテンパンに打ち負かす、という構図でほとんどの話が進みます。
性格的には難ありなのに「患者を救う」という一点においては誰よりも誠実、という渡海先生は医者として一番大事な理念を持っているからこそ、魅力的なダークヒーローでした。
でも、テクノロジー=リスク、人間=万能、という印象の前半の物語の流れは、ちょっと短絡的な感じもしました。
いろんな利害関係に巻き込まれその中で自分の立ち位置を守っているというキャラクターから何となく好意的に見えない高階先生。
ですが、その理念はテクノロジーの意義を理解し、それを生かしたより良い未来への希望を実現させようというもので、必ずしも間違ったことでははないと思えました。
物語後半になると、高階先生も理想を持って患者を救おうと努力する医師の側面が見え、テクノロジーについても理解を深めてうまく付き合おうとする渡海先生の柔軟性も出てきました。
お互い取っている立場は違っても「目の前の患者を救いたい」という思いの強さは変わらない
2人の対極にいた医師がお互いの医者としての思いを共有することで、少しずつテクノロジーと人間の力が融合していく展開となりました。
最終回では、内野聖陽さん演じる佐伯教授の本当の願い、
テクノロジーの力を活用しつつ人間ができうる鍛錬を怠らずに、一人でも多くの患者を救う医療の現場作り
が明かされ、テクノロジーvs人間という構図について、妥当な答えが出た展開で終わりました。
テクノロジーと人間は対立する関係で「どちらが善でどちらが悪か」という論調で論じられることが多いですが、それぞれの長所・短所を補い合う関係でいることが一番望ましいカタチだと思います。
でも、実際はテクノロジーによって淘汰される人間が出てくるため、様々な利害関係が絡み複雑な状況に陥りがちです。
40代のテクノロジーアレルギー
ここから少し話を発展させ、私たちの世代のテクノロジーとの付き合い方について、考えてみたいと思います。
40代の世代は、社会人になってからインターネットが普及してきた世代です。
私自身、学生時代は携帯でのメールを活用する程度で本格的にインターネットを活用し始めたのは社会人になってからでした。
職業がSEだったため、ITリテラシーは鍛えられる環境でしたが、12年ほど働く中で開発技術はどんどん進化し、それに伴いユーザーの環境も様変わりして行きました。
ちょうど私がSEを引退した時期(2010年)以降、SNSによるWebマーケティングが本格的に発展しているため、私のITリテラシーはここでストップしている状況です。
そのため、SNSに対しては、ネット上に個人情報をひけらかすもの、という負のイメージが強く、どうしても受け入れにくいアレルギーがありました。
私はITに関する知識は平均レベルよりはある方だとは思うのですが、それでもこのようなアレルギーを持っていました。
周りの同世代と会話していると、さらにその傾向は強く、
- 今はSNSで出会いを求める時代、アメリカでは3人に1人はAIが選んだ相手と結婚している
- AIの発展により、今後10年程度で、現存の約半分の仕事が自動化されて失われる、という論文が発表されている
という事実を伝えると、ほとんどが「怖い世の中だね」という反応を示します。
テクノロジーに人間の生活が支配される感じが「怖い」と感じるのだと思います。
私もネットビジネスに取り組み始めるまでは同じように感じていましたし、ネットビジネスを本格的に進める上で一番壁となっていたのがこの感覚でした。
しかし、若い世代は生まれた時からこの環境で、当たり前のようにテクノロジーが人間の生活の一部として切り離せない状況を受け入れて生きています。
感覚的な「良い・悪い」という判断をしていては私たちの世代は古いパラダイムに取り残されていき、どんどん生きにくい世の中に感じていくと思います。
そうではなく、テクノロジーが発展する背景を理解し、それがどのような恩恵をもたらしどのようなリスクがあるかを見極め、人間が担っていくべき役割は何かを考えることが重要です。
その役割を考える上で、私たちがこれまで培ってきた経験から得ている普遍的な価値を持ったものは見失ってはいけません。
若い世代にはなく私たちが持っている利点はここにあると思います。
新しいテクノロジーがもたらす世界と普遍的な価値観のバランスをうまく取ることは、私たち世代から発信していけることなのではないか、と希望を持ってこのブログも立ち上げました。
同じような志を持った仲間をこれから作っていけたらと思っています。
医療現場におけるテクノロジーの今後
少し話がそれてきましたので、医療現場におけるテクノロジーについて話を戻します。
このドラマの原作は30年前の医療の現場を舞台としているので、現在の医療テクノロジーははるかに進んでいると思われます。
このドラマで扱われているのは外科手術の技術を正確に行うロボットですが、現在はAIによって判断力があるテクノロジーの開発が進んでいます。
このドラマの中で、過去の論文から手術に活かせる事例をスタッフ総出で探し出すシーンがありますが、恐らくこのような処理は膨大のデータ処理を得意とするAIの力を借りれば、より正確に何倍もの速さで処理が可能です。
今日、3回の健診でいずれも「異常なし」と診断された女性が肺がんで亡くなり、実はいずれも見落としがあった、というニュースがありましたが、こういった判定もAIが一次診断をすることで避けられるようになると思います。
このようなテクノロジーが医療の現場に導入されたとき、医者には何が求められ、どうあるべきなのか。
ブラックペアンの佐伯教授・渡海先生・高階先生が繰り広げたドラマにはその答えのヒントも込められているのかな、と感じました。
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