体操業界がパワハラ問題でざわついていますね。
連日のニュースで「塚原夫妻=悪者」として徹底的に追い詰める感じには、
ちょっと辟易していますが、、、
スポーツ業界に身を置く者として、思うところが色々あるので、語っていきたいと思います。
アマチュアスポーツ界の不健全性
今回、一番、問題視=悪とされているのは、組織のトップにいらっしゃる方々の対応です。
私自身は今回のケースは単純に「トップ=悪」と片付けるべき問題ではなく、
コミュニケーションロスが原因の行き違いだと捉えていますが、
問題発生後のトップの方々の言葉の選び方だったり、対応は適切なものではなかったと思えます。
実は今回のようなトップに立つ人間の資質的な問題については、
現状、日本のスポーツ業界では「あるある」な感じなのではないかと思います。
そして、私はこの原因は日本のアマチュアスポーツ界がビジネスとして成り立っていないから
なのではないかと感じています。
「アマチュア」ですから、当たり前と思われるかもしれませんし、実際、携わっている人もそういう考え方の人が多いです。
アマチュアスポーツの世界で「お金」のことを考えることは美しいことではなく、携わる人の労力は「お金」を度外視した根性論的なロジックで捻出されています。
でも、スポーツを進めていくには、環境や人的リソースが絶対に必要であり、発展していくためには、それを捻出するための資金力は必須です。
そのためには、ビジネスのロジックは絶対に必要だと思います。
ビジネスのロジック=価値が正しく循環するための仕組みづくり
です。
このロジックが機能していないスポーツ業界で何が起こっているのかと言うと、権力欲が強く、「俺/私の言うことは絶対!」という権力を使って人を従わせる人が上に立ち、自分が気に入らない人材は排除して業界を牛耳る、という構図が出来上がるのです。
これが、昨今露出しているスポーツ界のパワハラ問題の根源にあるのではないかと感じています。
こういう問題が起きると、何故そんな人材がトップに立っているのか?
と疑問に感じることも多いですが、価値の循環がうまくいかない世界では良い人材は離れていき、
結果、高圧的なパワーを持っている人が強くなるのかもしれないですね。
しっかりした資金源を確保するための仕組み作りは、営利目的か非営利目的かに関わらず、必要なことです。
正しくお金が循環し、それぞれが持っている価値を最大限引き出せる環境づくりができるトップがスポーツ界でも多く排出するように、2020東京オリンピックに向けて、スポーツ界の改革が進むことを願います。
日本にいると「金儲け」という言葉は良い意味で捉えられないことが多いです。
確かに金の亡者になっているような人は人としての資質が足りず品がないと思いますし、詐欺的に一方的にお金を捲き上げるような「金儲け」は悪です。
でも、資本主義の仕組みの中で健全に生きていくためには、
お金に対するリテラシーをあげる、ということは絶対に必要なことです。
今、日本人が一番学ばなくてはならないことではないかと感じます。
私はこちらの講座でお金に関する知識を得たことで、だいぶ世の中の見え方が変わりました。
昨年ブームになった「仮想通貨」についての正しい知識も身につきますので、そっとオススメさせていただきます。
金融の仕組みを理解することでお金のリテラシーをあげるためのトレーニングです。
スポーツ指導者としての在り方
実は、今回のニュースを見ていて、私が一番感じた問題点、というか違和感はこちらの方でした。
みんなが当たり前のように「暴力による指導は絶対ダメ」と言っています。
この論調だけは、どの番組を見ていても一貫しています。
でも、何故ですか?
そう思う視聴者はいないのでしょうか?
暴力は確かに良くないという価値観を持ってはいるものの、宮川選手の発言から感じられる選手とコーチの信頼関係から、それが指導の上で有効に働いていたとは考えられないでしょうか?
私はこの突如出てきた「暴力による指導は絶対ダメ」という常識が一般化していることに違和感を感じずにはいられません。
何故なら、私たちの世代には「暴力による指導」を受けていた人も多く、コメンテーターとしてその世代の人間が多く語っているので、本音としてその価値観が腑に落ちている人が実は少ないのではないか、と感じるからです。
だから、「暴力による指導はダメ」という言葉に説得力がなく、問題が塚原夫妻にばかり行っているように見えるのです。
私は「暴力による指導」は指導者のスキル不足だと思います。
指導をする上で暴力を使う理由は、選手のモチベーションをキープすることが主な目的です。
指導者としてのマインドを持たずただただ憂さ晴らしのイジメである場合は論外ですが、スポーツ指導それも一流選手を育てる指導の場での暴力は「やらなくてはいけない」というモチベーションを意識づける目的で行われているはずです。
でも、言葉で諭すこともできずに暴力を振るうというのはあまりにも短絡的な指導方法です。
そして、そのような罰を与える形でのモチベーションはマイナスをゼロにすることはできても、プラスを産むことはできません。
選手の本当の能力を引き出すためには、
選手自らが「やりたい」と思えるモチベーションを引き出すことが重要で、
そのための手法は暴力ではあり得ません。
今回、「選手ファースト」で処分を受け入れた速見元コーチ。
自分の指導スキルの弱さについてはしっかりと自省し、問題の本質を真に理解して、指導者としてのスキルを磨いていって欲しいです。
選手に信頼されているコーチですから、リテラシーが上がればより上のステージに行かれるはずです。
今、アメリカのスポーツ業界では、POSITIVE COACHINGが推奨されています。
選手自らが自分を律して成長できる人材に育てるためには、スポーツの技術だけではなく、人間的な成長をサポートする必要があります。
そういった最新の指導論やテクニックについての意識が、日本の指導者は足りないと思います。
今回、坂上忍さんの情報番組「バイキング」で池谷さんが
「体操は危険なスポーツだから厳しい指導も必要」
というような発言をし、坂上さんに
「そういう思想が暴力を容認しているんじゃないか?」
と突っ込まれていましたが、私もそう感じました。
「安全性」というのはスポーツを行う上で絶対に守らなくてはいけない要素です。
スポーツ自体の安全性を保つためのルールづくりから、選手の安全性を確保するための指導テクニックなど、海外ではそのような研究開発が毎年行われてアップデートされています。
ところが、日本の指導の現場では「危険でも頑張ればなんとかなる」的な根性論が成り立っています。
日本の指導者も自分たちが受けていた指導が時代に合っていないことを認識し、もっと外に目を向けていく必要があると思います。
今は、インターネットを使えばコストをかけなくてもいくらでも情報を得ることができるので。
昨今のスポーツ界でのスキャンダルを教訓に、日本の指導現場が向上する動きが出てくることを期待しています。
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