SNSにおける「シェア」や「シェアリング・エコノミー」というように、「シェア」というコトバが時代を表すキーワードの一つとなっています。
正直、私自身、この「シェア」という感覚がピンと来ていなく、やはり、欲しいものは「所有」しておきたいという気持ちが強かったです。
いや、正直なところまだその感覚は捨てきれず、効率が悪いと思いつつ、どんどん物を増やしてしまう傾向があります。
でも、よーく考えてみると、私の最大の弱点である「だらしない」ということは、この「所有」にこだわり過ぎているから何だろうなぁ、と最近思えてきました。
「所有」の価値を「シェア」に置き換えることで、もしかしたら弱点克服できるのかも!?
という期待も込めて、このテーマについて掘り下げていってみようと思います。
時代の流れと価値の遷移
モノが手に入りにくい時代。
産業革命前や戦後の日本などがそれに該当すると思いますが、この時代はとにかくモノ自体が貴重な時代です。
ここでは、モノを所有していることそのものの価値が大きいです。
そして、産業が発展し、モノが量産されてくると、同じようなモノが増えてくるので、中でも質の良いモノの価値が上がっていきます。
日本の産業は特に品質改良のスキルが強かったため、戦後の経済急成長に繋がっていったのだと思います。
質の良いモノも量産されるようになると、次第に、商品間の質の差も限りなくゼロに近い状況になっていきます。
必然的に価格競争に追い込まれる中で差別化を図るために、「付加価値」が求められるようになります。
マスメディアを利用してイメージ戦略やハイブランド戦略によって、それらの価値は広められていきますが、ここでのキーワードは「体験」です。
それを所有することで得られるステータス感やそのユーザーであることで繋がり合う仲間意識、などがこの価値の源泉になります。
このように、モノの価値はモノそのものから所有で得られる体験に移り変わっていきますが、ここまではいずれも所有することに価値が置かれています。
私たちを含む私たちから上の世代は、いかにステータス感のある所有ができるか、という価値観を強く持っている世代だと思います。
しかし、そのような価値観を一蹴するような出来事が起こります。
アメリカ同時多発テロや東日本大震災。
モノをたくさん所有して得られる豊かさの脆さに直面し、人は少しずつモノを所有すること以外に価値を見出してきます。
必要最低限のモノだけを持ち、身動きを軽くする生き方の価値が高まってきたのです。
そして、モノではなく体験そのものの価値が上がり、「楽しい!」「嬉しい!」「幸せ!」と感じることを貪欲に求めるようになってきました。
体験は自分の中だけにため込むだけでは満たされません。
シェアできる仲間が必要です。
そんな時代の流れと共に発展したSNS。
時間や場所を超えて繋がり合えるインフラも手に入れ、シェアし合える仲間探しのハードルも下がり、様々な領域でシェアし合えるコミュニティーづくりが始まっていった。
こういった時代の流れが「シェア」の時代到来の背景なのだと思います。
真の自己実現とは?
もう一つの側面は、「自己実現」を達成するためのプロセスについて。
自己実現とは、自分の存在を証明していこうとするプロセスです。
自分の存在を示す方法としてまず考えられるのは、ラベルをつけていくこと。
中でも「モノを所有して」得られるラベルは、わかりやすく手に入れられるラベルです。
誰からも羨ましがられる価値あるモノを身にまとう。
これを実現したいから、それに必要なお金を、生活に必要な最低限以上に、所有したいと思うのです。
もっと明確にはっきりと誰かに伝えられやすいラベルは「地位や名誉」です。
良い学歴・職歴、社会的な立場、成功者としての経歴、というようなものです。
これらは、必死に勉強し、働き、努力することで所有していくことができます。
時には、その方向性が間違っていても「地位や名誉」を得るためには手っ取り早い努力を選択することもあります。
このように色々なラベルを身につけていく中で、二つの方向性に別れていきます。
一方は、手に入れたラベルを身に纏い続けるために、さらに多くのラベルを手に入れるために、必死に所有を続けていこうとする者。
もう一方は、手に入れたラベルを自分の中に維持し続けることで劣化していくことよりも、手放して誰かに渡して広げていくことを選ぶ者。
前者であっても、努力の方向性が間違っていなければ、それは十分素晴らしいです。
でも、全盛期を維持し続けることはとても難しく、狂信的に追い求め過ぎて、努力の方向性を見誤り、狂っていく方が多いのだと思います。
後者はつまりシェアしていくということ。
自分が持っている価値を溜め込まずに誰かとシェアすることで、価値を高め合い倍増させていく生き方です。
人それぞれ大きさは違うだろうけど、誰もが自分の中に溜めこめられるキャパに限りはあるものだから、キャパを超えた時に手放していく選択ができる方が、強くしなやかに生きていくことができます。
「自己実現」の行き着くところは「他者実現」、「自分と他者の統合化」になるのだと思います。
時代の流れにおける価値の遷移
自己実現を達成する過程
どちらにおいても、行き着く先は、自分の中に溜め込む「所有」ではなく、誰かとの繋がりから得られる満足感を満たせる「シェア」の価値に軍配が上がっています。
私は、40代という年代はちょうど自己実現において分かれ道に立つ時期だと感じています。
そして、自分がその時期になった今、時代の流れも同じように動いていることに、良い流れを引き寄せているのではないかと思っています。
今こそ、自分が持っている「モノ」を一旦整理し、持っていなくても良いモノを手放していくべき時!
持っていなくったって、誰かとシェアができていれば、その価値は永続していくし倍増していくのだから!
・・・今年中に、本気で断捨離、断行していきたいと思います!
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